行政書士の三浦です。
今回は、「海外企業と日本企業のハンコ(印鑑)とサイン(署名)の認識の違い」です。
日本はハンコ(印鑑)社会
日本は、ハンコ社会と呼ばれ、ハンコに大きな効力があります。
例えば、お金を借りていないのに、ご自身のハンコ(偽造も含め)が借用書に書かれているとします。
もちろん、「お金を借りていない」という主張になるかと思われますが、実は、この際、裁判所等は「お金を借りている」と推定することになります。
どういうことかと言いますと、ハンコに大きな効力がある日本では、ハンコが押してあれば、そのような契約だと推定しようとなるわけです。
推定の場合は、反証が可能なため、借りていないことを証明すれば、もちろんお金を返す必要がありません。
しかし、お金を借りていないという証明をすることは容易ではないのです。
最終判断は裁判所になるため、上記の場合、どのような判決になるのか、一概には言えませんが、そのくらい日本社会ではハンコの効力が強いのです。
海外はサイン(署名)社会
一方、海外ではサイン(署名)社会の国が多いです。
「ハンコは簡単に偽造できるけど、署名による筆跡は個々で異なるのだから信頼度が高いだろう」と考えている場合が多いのです。
海外企業との契約
上記のように、海外企業と日本企業では、ハンコ(印鑑)とサイン(署名)の認識の違いがあります。
また、法律的にも違いがあります。
日本の法律では、契約書の形式によって契約が無効になることは、ほぼありません。
つまり、契約が日本法に準じて締結される場合であれば、契約形式の面からは大きな問題に発展しづらいと言えます。
しかし、海外の法律が適用される場合は要注意です。
相手国や適用となる国の法律により異なりますが、正式な契約書の書式を用いらなくては、契約が無効となる場合があります。
実際に、契約の法律が適用される国の言葉で契約書を交わしていないため、無効とした実例や国もあります。
海外企業との契約の際には、十分な注意が必要です。
まとめ
日本企業同士の契約であれば、日本の法律が適用され、なおかつ商習慣も同じなので、明確な契約を結べば、トラブルに発展することは多くないでしょう。
しかし、海外企業との契約の場合、相手国の法律や商習慣、契約内容、契約書の言語など、多くの要件を確認しなくてはなりません。
最悪の場合には、契約が無効(最初からなかったことになることです)ということもありえます。
海外企業との契約の際には、必ず当国に精通した弁護士や行政書士にご相談ください。