行政書士の三浦です。
今回は、「契約と約束の違い」「契約書を作成する理由」について解説いたします。
日常に溢れる契約と約束 「契約書作成代行専門 行政書士が解説」
「契約」と聞くと、契約書を作成し、かしこまった雰囲気の中、契約を結ぶというイメージを持たれる方も少なくないと思います。
もちろん、そのような場合もありますが、実は、毎日の生活の中でも契約を結んでいるのです。
例えば、「お店で品物を購入したら、店に代金を支払う」という場合です。
スーパーやコンビニでお買い物をする時、お店と契約を結んでいるのです。
そのため、当事者には法律上の権利や義務が発生することになり、契約が守られなかった場合には、契約の相手を裁判所に訴えるなどして、約束した内容を国家の力を借りて強制的に実現させることが可能です。
スーパーやコンビニは、商品を管理し、代金をもらって商品を販売しており、買い物客は、代金を支払うという契約の基、商品を受け取ることができるということです。
一方、約束は相手が守らなかったとしても、国家の力を借りて強制的に実現させることはできないことを言います。
つまり、「明日、10時に駅で待ち合わせね」という場合です。
双方の同意で上記の約束が行われているため、契約と近いですが、法律上の強制手段により実現できないため、契約とは分けられます。
つまり契約と約束の違いは、法律上の強制手段によって実現できるかどうか、という点で判別されます。
「契約書を作成する理由」 「契約書作成代行専門 行政書士が解説」
契約を結ぶためには、スーパーの例のように、書面が必ず必要というわけではありません。契約自体は、口頭でも成立します。
契約書はある程度の決まった書式はありますが、原則的に自由に作成することができます。
また、「契約自由の原則」というものがあり、「契約を結ぶかどうか」「契約内容」などは原則的に自由です。
では、なぜ、ビジネスの世界では契約書が作成されるのでしょうか。
簡潔に言えば、トラブルを防止するためです。
上記の通り、契約自体は口頭でも成立しますが、「言った、言わない」の問題が発生したと仮定すると、想像に難しくないと思います。
双方の確固たる信用があれば別かもしれませんが、状況が変われば、双方の言い分は変化することが一般的です。
自社にとって有利に契約内容を判断してしまうことも考えられます。
そのため、書面を作成し、署名捺印をすることで、契約内容を明確にする働きがあります。
また、契約書を公正証書にすることで強い執行力にすることも可能です。公正証書とは、公証役場で公証人に契約書等を公正証書にしてもらうことです。
契約書を作成する上でのポイント
・契約成立日を明確にする
・契約期間を明確にする
・契約内容の詳細を明確にする
・収入印紙をどちらが負担するか(or 電子契約を利用するのか)
・契約が履行されなかった場合の責任の所在
・損害が発生した場合の賠償額(違約金)
・契約を解除する条件
・免責事項
・譲渡について
など、多岐にわたります。
まとめ
契約書という書面を交わさずとも、私たちは生活の中で契約を結んでいます。
また、法格言の中に、「法の不知はこれを許さず」というものがあります。これは、刑法の考え方なのですが、「万引きをすることは悪いことだと知らなかった」という言い訳は許されないということです。
つまり、法の知識がなくとも、一般社会で暮らす中で、当たり前ですがルールを守らなくてはならないということです。
しかし、一般的なルールという認識は、個々により異なることもあるかと思われます。
上記の万引きの例であれば、誰もが悪いことだと判断できると思います。
しかし、契約内容の中で、法的に「どの内容が悪くて、どの内容が良いのか」を判断することは容易ではありません。
上記の通り、契約は原則、「契約自由の原則」から自由に結ぶことができます。
つまり、法的に「どの内容が悪くて、どの内容が良いのか」を判断する必要がないとも考えられます。
しかし、公序良俗(法律行為が社会の一般的秩序または社会の一般的道徳観念に適合していなければならないこと)に反する内容である場合などは、契約は無効となり、最初から契約が無かったものとなります。
つまり、契約自体は自由なのですが、契約書式や記載内容などにより、大きくその形を変えてしまう可能性があるのです。
契約は、双方の合意の基に締結することができますが、私たち書類作成の専門家である行政書士が間に入ることで、今後のトラブルを避けることができるのはもちろん、不透明な内容での契約を結ばないことができます。
当事務所では、オンライン上でも契約書の作成や修正を承っております。契約書等の書面作成でお困りの際には、お気軽にお問い合わせください(ご相談無料)。