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フリーランス(個人事業主)が業務委託契約書を締結すべき理由

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行政書士の三浦です。

現在、フリーランスの人口は、1,000万人を超え、企業に属さない働き方が進んでいます。

副業を推奨する企業も増えており、今後はフリーランスや個人事業主は増加されることが予想されています。

フリーランスや個人事業主が増加されるということは、個々の能力を高めなくてはならないため、日本の発展に貢献される部分もあるかもしれません。

しかし、資本が十分でないフリーランスや個人事業主は、少しのミスで事業の運営が難しくなってしまう脆さも同時に有しています。

事業の運営に支障が出る要件は様々かと思われますが、こちらの記事では、契約書の視点からご案内をさせて頂いております。

業務委託契約書を締結されない方が多い

業務委託契約書に関わらず、原則的に契約書は法的な作成義務はございません(案件によりましては必要な場合もございますが、フリーランスや個人事業主の方が受託して業務を行われる場合には原則的に不要です)。

そのため、極論としては、事業を進める中で契約書は必要ないことになります。

しかし、法的に契約書の作成義務がないことと、事業を円滑に遂行される基盤を作られることは別の問題となりますため、実務上は契約書作成は義務に近しい部分がございます。

フリーランスや個人事業主の方は、取引先(特に法人相手)の場合には、相手方の力が強く、業務委託契約書の内容を思うように締結できない場合も多いかと思われます。

また、取引先が恣意的に判断し、業務委託契約書の締結自体を渋ってしまうことも多くお聞きします。

業務委託契約書を明確に定めなかったため、双方の意向に相違が発生してしまい、業務を進められる中で双方にとって不利益が発生してしまう可能性があります。

そのため、フリーランスや個人事業主がお仕事を受託される際には、必ず業務委託契約書の締結をご検討いただく必要があり、業務を委託される際も然りです。

契約書を締結されておくことで、契約時点での最低限のお取り決めは明確に残すことができますし、気持ちの部分でも署名捺印を行い書面を交わすことは、双方の義務への意識を高める効果もございます。

業務委託契約書を締結されることは法的な義務ではございませんが、実務上では義務だと捉えて頂くことが重要になるかと思われます。

業務委託契約書とは

業務委託契約書とは、委託者(業務をお願いする側)と受託者(業務を遂行する側)が、一定の業務を行うことを約束するものとなります。

例えば、「コンサルティング業務委託契約書」「営業代行業務委託契約書」など、一定の業務を受託者が遂行し、その業務遂行に対して報酬を支払うという契約になります。

報酬は、毎月定額報酬、成果報酬、単発報酬(1回の業務に報酬を支払う)と、ご状況に合わせて、双方の合意の基、設定することができるため、委託者にとっても、受託者にとっても、メリットがある形で契約が可能です。

また、「契約自由の原則」により、どのような内容であっても原則的には締結することができます(もちろん、殺人を依頼するなどの、法や公序良俗に反する契約は無効です)。

しかし、業務委託契約書として作成をされても、状況によっては「雇用契約(委託ではなく、実質的に雇用している状況である状態)」「業務請負契約(工事施工などの完成義務がある契約)」と判断されてしまう場合もございます。

「業務委託契約」「雇用契約」「業務請負契約」の判断は、状況に合わせて個別具体的に確認される必要がございますので、判断が難しい場合には、行政書士や弁護士等の専門家にご相談ください。

業務委託契約書の締結

業務委託契約書は、法人個人関係なく締結されることができます。

そのため、「法人個人間」「個人同士」など、法人個人のとらわれず契約が可能です。また、個人が委託者、法人が受託者となることもできます。

しかし、個々のご状況により、下記注意点があります。

法人個人間

法人個人間の業務委託契約書の場合、実務上におきましては、フリーランスの方や個人事業主様が受託者様となる場合が多いかとお見受け致します。

例えば、大企業と比べて、人材やスキルに限りのあることが多い中小企業が、一定の業務を外部に委託することは自然の流れであり、個人と比べて資本も余裕があり、法人が委託者となることが多数かと思われます。

法人個人間の業務委託契約書締結時の注意点は、フリーランスの方や個人事業主様にとって不利となる契約になっていることが多いことです。

一概には言えませんが、法人が委託者であっても受託者であっても、法人側が主体となって話を進めていることが多いためです。

法人には、顧問弁護士がいることもありますし、資本も知識も法人側が多く有していることが多く、フリーランスの方や個人事業主様は、法人の言われるがままに、業務委託を締結してしまったという相談を多数お受け致します。

フリーランスの方や個人事業主様にとって、一つの契約が事業運営に多大な影響を与える可能性もございますので、業務委託契約前の交渉段階にて、ご自身に不利にならないよう、交渉を進めることが重要となります。

契約は一度締結してしまうと、原則的に内容を変更することができません(相手方の合意があれば可能です)。

また、契約を解除する場合には、その解除により相手方に損害を与えてしまった場合には、相手方の損害を賠償しなくてはならない可能性もあります。

取り返しのつかない状況とならないよう、フリーランスの方や個人事業主様は、業務委託契約書をしっかりと締結されることはもちろん、ご自身にとって不利とならない内容であるかを十分に確認される必要がございます。

個人同士

個人同士の締結の場合には、インターネットからダウンロードできる雛形(テンプレート)を使用されているご状況を多くお見受けいたします。

当事務所にも、ご依頼者様より「業務委託書を雛形(テンプレート)を使用して、作成をしたのですが、法務チェックをお願いしたい」というご相談を多く頂きますが、業務委託契約はご状況により内容は全く異なるため、雛形(テンプレート)から作成をされてしまうと、不要な条項が記載されている、かつ、必要な条項が記載されていない書面が完成してしまうことが多くなります。

また、個人同士の締結の場合には、ご契約当事者様双方ともに法律に精通しておらず、内容を十分に把握されていないというご状況も多いと感じています。

ご契約当事者様が業務委託契約書の内容を理解されていない場合には、業務委託契約書を締結されること自体がトラブルに発展する要因となってしまう可能性もございますので、行政書士や弁護士を介入させ、不明点を確認されながら、個々のご状況に合わせた業務委託契約書作りを進められることが重要です。

筆者について

こちらの記事を作成させて頂いた行政書士の三浦は、行政書士事務所開業前、個人事業主として留学エージェントを営んでおりました。

留学エージェントは、国内と海外を結ぶ事業ですので、日本国の法律はもちろん、相手国の法律や文化に精通している必要がございました。

しかし、行政書士になる前は、十分な法的な知識を有していたわけではなく、語学学校や旅行会社から提示された契約書を、一度目を通し、特に気になる点がない場合には、そのまま契約を締結していました。

取引業者様に恵まれ、運良く大きなトラブルに発展したことはないのですが、行政書士となった今、振り返ると危ない橋を渡っていたと考えることがあります。

取引業者様に悪意があれば、法律の知識が乏しかった私の事業は、一瞬の内になくなってしまう可能性も十分に考えられるからです。

現に、行政書士として活動する中で、悪意のある(一方に極端に有利となっている)契約書も多数お見受けいたします。

この点、「契約自由の原則」により一方に極端に有利であっても、法律に反するわけではないので、難しい部分ではあります。

そのため、契約を締結される時に、十分の内容を確認し、リスクを最小限に留める努力が必要になります。

私自身、フリーランス及び個人事業主としての経験を有しておりますので、フリーランスの方や個人事業主様のお気持ちもご状況も十分に理解していると自負しております。

取り返しのつかないご状況とならないよう、業務委託契約書を締結される際には、お気軽にご相談ください。

トラブル実例

業務委託契約は、原則的には、相手方に契約終了の希望を通知し、いつでも契約を解除することができます。

しかし、実務上は、いきなり契約解除となってしまうと、相手方に損害を与えてしまう可能性があり、最悪の場合には訴訟まで発展してしまう可能性もあります。

平成28年2月22日の東京地裁では、業務委託契約を委託者が解除したところ、受託者が1億4000万円の損害賠償請求をしたという実例があります。

もちろん、業務委託の規模や損害により、金額は異なりますが、契約時に信頼関係も含め、しっかりと業務委託契約書を締結していなくては、上記のような状況となる可能性があることは、念頭に置いておく必要があるかと思われます。

契約書に100%はない

しかし、実務上は、契約書で全てのトラブルを防止できるよう、内容を網羅することは難しい部分があります。

実務を進められる中で、状況はいくらでも変化いたしますし、状況の変化により、ご契約当事者様双方の考えにズレが生じてしまうことは、避けられません。

そのため、業務委託契約書締結時において、考えられるお取り決め内容を記載され、実務を進められる中でお取り決めの変化があった場合には、追って「確認書」等を締結し、常に契約をブラッシュアップされることが重要です。

また、契約書締結以前に、双方の信頼関係構築に努められることも、業務委託契約においてトラブルを防止する方法の一つとなります。

業務委託契約書では、どうしても法的な堅い文章となってしまうため、双方の明確な意向(ニュアンス)が反映できない可能性もあります。

契約締結前には、相手方と十分なコミュニケーションを図られることも重要となります。

まとめ

フリーランスの方や個人事業主様が増加される現在、業務委託契約でのトラブルの増加も懸念されています。

日本国において、契約書を締結される理由としては、「トラブル防止」が重要視されています。一方、アメリカなどにおいては、「契約が円滑に遂行されること」が重要視されています。

保守的な日本において、契約書を締結される理由は、「トラブル防止」であるにも関わらず、法律の知識不足や少しのボタンの掛け違いで、逆に契約書を起因として、トラブルに発展してしまうことがあります。

上記の通り、契約書に100%はありませんが、契約当事者様の認識を可能な限り擦り合せるために、契約書の締結は必須と考えられます(法的な義務ではありません)。

フリーランスの方や個人事業主様が円滑に業務を遂行できるよう、誠心誠意サポートをさせて頂きますので、業務委託契約書について、何かご不明点や懸念点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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