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YouTubeは、個人法人を問わず、気軽に参入できるビジネスの1つです。
また、(パソコン等の機材のみで)ほぼ初期費用が発生しないため資本がなくても良い点、趣味の延長上で参入できるという点もメリットです。
しかし、気軽に参入ができるからこそ、YouTube運営上の法的なトラブルが多く発生していることも確かです。
こちらの記事では、YouTube運営がより楽しく、そして法的な安定性を担保するための、契約書例をご紹介しています。
「YouTube運営」に関する必要契約書① YouTube出演に関する契約書
YouTubeを運営される中で、第三者に出演いただくことも多いと思います。
ゲストで著名な方を呼ばれたり、街中で声をかけて出演してもらうというような場合です。
YouTubeの動画は一度動画をアップロードすると、全世界の方が閲覧できるようになります。
そのため、動画のアップロード後に、出演者の方が「公開されるとは思わなかった。」「アップロード先を知らされてなかった。」「(芸能事務所等に所属されている出演者の場合においては)所属事務所とトラブルになった」など、トラブルが発生する可能性は多くあります。
もちろん契約書を締結した場合においても、「自分の意図する出演方法ではなかった」「出演することに対してメリットがなかった」というような主張が出演者から発生する可能性はありますが、これは出演者の方の責任でもあり、YouTubeの運営者様としては、「契約に沿って対応した」という証拠があれば法的な責任を負う可能性は格段に低くなることが予想されます。
そのため、YouTube運営者としては、第三者が出演する場合には、必ず出演の(同意)契約書を締結されることが必要です。
動画をアップロードした後は、すでに動画が拡散されている可能性があり、後戻りができなくなってしまうためです。
YouTube出演に関する契約書の主な記載内容
動画をアップロードするチャンネルの特定
出演者に出演に同意をいただくことと同時に、動画をアップロードするチャンネルを明示することをお勧めします。
こちらの点、当事者同士の合意があれば、チャンネルを特定せず、「様々な媒体にてアップロードできる」とされても法的には問題ありません。
しかし、出演者の立場に立つと、「この動画はどのように使用されるのか??」「アダルトサイトや詐欺サイトにアップロードされてしまうのでは??」などと、不安に思う方も少なくないため、チャンネルを特定し、トラブル防止に努めることが重要です。
出演料
出演料は無償でも問題ありません。
しかし、出演料が発生する場合には、明確な金額を記載しておく必要があります。
出演者がお金を目的として出演されていない場合もあると思いますが、法的には、お金の部分が最もトラブルとなりやすいため、出演料が発生しない場合には、その旨を記載することも重要です。
出演者が芸能事務所等に所属している場合の取り決め
こちらは実務上、多いトラブルの1つです。
例えば、出演者が芸能事務所等に所属しており、当該芸能事務所が活動を管理している中、出演者が独断で出演を決定してしまうような場合です。
これは、出演者と芸能事務所間の契約内容にもよりますが、多くの場合には「専属契約」となっているため、出演者の方は契約違反となり、YouTube運営者にも、当該芸能事務所から何らかの請求がくることも予想されます。
「これは、出演者と芸能事務所間の問題ではないの??」とも考えられますが、仮に出演者が企業のCMに内定しており、清楚な役で出演しているにも関わらず、YouTubeの動画では全く異なる役で出演されていたらどうでしょうか。
芸能事務所からは「うちの商品のイメージを汚した」と考えられる可能性が高く、企業は「CM出演を取りやめる」と判断されるかもしれません。
また、CMには多数のスポンサーがいるため、スポンサーの判断も含まれてきます。
もちろん、YouTube運営者が最終的に責任を負われるかどうかは、その時のご状況とはなります。
しかし、不要なリスクを抱える必要はないため、YouTube運営者は、「出演者が芸能事務所などに所属していないこと」、「所属している場合には出演者が所属事務所と協議し、トラブルが発生しても(YouTube運営者は)責任を負わないこと」は、最低限定めておくことが賢明です。
知的財産権の帰属・肖像権
知的財産権の帰属・肖像権に関しての取り決めも重要な規定の1つです。
知的財産権とは、簡単に言えば、「動画の権利は誰にあるの??」ということです。
動画の権利を有しているからYouTubeに動画をアップロードできるのであり、権利がない動画を自分のYouTubeにアップロードすることは犯罪となります。
当然ですが、自分が撮影していない映画やドラマなどを、自分のYouTubeにあげることはできないということです。
こちらの点、動画の権利は、制作者に帰属することとなるため、契約書に規定をされなくても、動画の権利者はYouTube運営者とはなりますが(制作者が複数いる場合には、制作者間での取り決めを定める必要もあります。つまり、カメラマン、編集者などがそれぞれ独立した事業主で撮影をしている場合です。法人単位など、会社で動画を制作する場合には、当該会社に権利が帰属します)、出演者との認識を明確にするために規定することが最善です。
また、肖像権とは、簡単に言えば、「無断で写真や動画を撮られない権利」です。
つまり、自らの意志で出演者は出演に同意し、半永久的に動画が公開されることに同意していただいたことを記載する必要があります。
「YouTube運営者は、出演者の肖像権を侵害せず、適切に取り扱います」という規定となります。
「YouTube運営」に関する必要契約書② スポンサー契約書
YouTubeを運営される中で、登録者数や動画数の増加共に、スポンサーさんとの契約をされる方も多いです。
スポンサー契約とは、簡単に言うと、「スポンサーが、YouTube運営に関する資金や備品等を提供するから、自社(スポンサー)のブランドや商品等の認知度を高めてね」という契約です。
スポンサー契約の内容は多岐に渡るため、当事者様同士の合意次第ではありますが、具体的には「動画内で着用する服やアクセサリーの提供」、「動画内にて使用する備品の提供」、「動画の概要欄への(スポンサーの指定する)リンク記載」などが多いかと思われます。
スポンサー側からするとブランドや商品認知度の向上、YouTube運営者としては資金面の援助を得られることや(著名な企業やブランドがスポンサーにつくことで)信頼性が高まるというメリットがあります。
スポンサー契約を締結できるのは、数百万単位の登録者がいるYouTuberの方しかできないと考える方も多いと思いますが、実際はそうでもないようです。
もちろん、大企業がスポンサーにつくとなると、一定の登録者や信頼性などが求められますが、例えば何かに特出したチャンネルを運営している場合には、数千人ほどの登録者でもスポンサーがつくことも少なくありません。
つまり、ニッチなチャンネルを運営している場合には、そのニッチなサービスを提供している企業がスポンサーがつきやすいということです。
そのため、登録者や知名度に関わらず、自らスポンサー契約を締結するために営業をかけることで、良い結果につながることも多いようです。
スポンサー契約書に関する主な記載内容
スポンサー内容
「動画内で着用する服やアクセサリーの提供」を例にあげると、「動画撮影時には必ず、スポンサーが運営するブランドの服を着る」ことがYouTube運営者の責務となります。
その場合には、スポンサー側は、服を着用したことに対する報酬(スポンサー費用)を支払う義務が発生します。
どのような内容で契約をされるかは多岐に渡るため、当事者様の自由ですが、スポンサー契約の場合には、「双方にメリットがある内容」とされることが、契約の継続性を考えて重要となります。
スポンサー料
「年間〇〇万円」と設定されることも、「(上記例を基にすると、スポンサーが運営するブランドの服を着てアップロードした)動画1本に対して〇〇万円」などと定めることも可能です。
また、支払い方法(月払いなのか、契約時に一括払いなのか等)も自由に定めることが可能です。
お金に関する取り決めが最もトラブルになりやすいので、当事者様の意向を十分に協議し、定めることが重要です。
まとめ
※こちらの記事は、随時更新中です。
契約書の締結は法的義務ではありませんが、トラブル防止の観点からは、実務上は締結が必須と考えられます。
契約書を締結していない場合(口頭やメールなどでの合意の場合)、当事者の認識に相違があったり、どちらかが自分の有利な解釈をしてしまったり、故意に嘘をつくことも考えられます。
つまり、契約書が無いと、本当に契約が締結されていたのか??どのような内容だったのか??どちらの主張が正しいのか??など、そもそもの部分が、第三者(裁判官等)にはわかりません。
そのため、「言った、言わない」という不毛なトラブルに発展してしまうことが多いです。
契約書を締結することは当事者双方にとってメリットがあることなので、これからYouTube運営をされる方、すでにされていて契約書を締結していない方は、契約書の重要性を頭の片隅に入れていただくことをお勧めいたします。
行政書士三浦国際事務所では、各種契約書のひな形を販売しています。
「YouTube」のカテゴリーに関する販売契約書一覧は、こちらにおまとめしています。是非、ご活用ください。
こちらの記事は、「YouTube運営」に関する、必要契約書を一覧にてご紹介しています。